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No.5
粉体用充填層乾燥技術の開発

従来、ppmオーダーの粉体の減率乾燥は、主にNPD(パドルドライヤー)及びNFP(マルチフィンプロセッサー)等の溝型撹拌伝導伝熱式乾燥機を直列に配置し、予備乾燥、本乾燥を段階的に処理するプロセスで行ってきました。しかし、これらの溝型撹拌伝導伝熱式乾燥機は構造が複雑で、グレードチェンジや洗浄に時間を要する、あるいは付着等の機内状況によっては、困難であるというデメリットがあります。

今回紹介する充填層式乾燥機NTD(奈良タワードライヤー)は、構造が簡単なため洗浄性に優れグレードチェンジが容易であるという、溝型撹拌伝導伝熱式乾燥機のデメリットを克服し、減率乾燥に特化した乾燥機となります。NTDは従来、PETやPOM等の処理品粒径が3〜5mm程度のペレット形状をしたものに対し実績がありましたが、これを粉体に対しても適用できるよう開発を行ってきました。

NTDの構造は、円筒縦型で下部がコニカル形状となっており、円筒内部にはファンネルフロー防止のための内筒が設置されています。NTD内部への熱風の流入は、コニカル部に設置された多孔板よりガスを分散させ均一に充填粉体とガスを固気接触させる機構となっています。粉体の充填は、内筒管上部の円錐部頂点を中心に粉体を供給すると、円錐部が分散子の役割を果たすため装置内に均一に充填されます。

装置性能を表す指標のひとつに滞留時間分布があります。これは、ある時間(t=t0)に供給した粉体が、設定した滞留時間θに対し、どの程度の時間幅で排出されるかを表したものです。この分布幅が小さいほど、ほぼ設定した滞留時間で装置内を通過したことになり、一つ一つの粒子が装置内で同じ処理をされたことになります。NTDの滞留時間分布は±0.1θとなり、NPD(±0.5θ)や流動層乾燥機FBD(±0.7θ)に比べ非常にシャープなため、より安定した品質で処理を行うことが可能です。

このように、奈良機械製作所では業界のニーズに対応しさまざまな装置の改良開発を行っています。